2026年4月からの在職老齢年金制度の支給停止基準額の大幅な引き上げについて
記事作成日:2026/06/21
現在や今後の日本では、少子高齢化もあり高齢者の就労機会が拡大しています。
その中でネックになっていたのは、働くと年金がカットされる在職老齢年金制度の存在です。
この在職老齢年金制度の支給停止基準額が、2026年4月から大幅に緩和されました。
今回は、2026年4月から適用されている在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げについて解説していきます。
※本記事は2026年6月21日時点の法令をもとに執筆しており、法改正等により現在の制度と異なる場合があります。ご不明点は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
この記事は、こんな方におすすめです。
☑ 60歳以降も働きながら年金を受給する予定の高齢従業員の方
☑ 高齢者の雇用継続や人手不足対策を検討している企業の経営者・人事担当者
☑ 在職老齢年金の仕組みや最新の制度改正を把握しておきたい総務・労務担当者
在職老齢年金とは、給与収入を得ながら老齢厚生年金を受給する方が、年金受給額と賃金の合計額が一定基準額(支給停止基準額)を超えた場合に年金額の一部または全部が支給停止される制度のことです。
この支給停止基準額は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額によって決まります。
老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が支給停止基準額以下の場合は、在職老齢年金額による支給調整はなく、年金額は全額支給されます。
一方、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が支給停止基準額を超える場合には、在職老齢年金により年金額は調整されるのです。
調整後の年金受給月額は、以下の計算式で計算されます。
在職老齢年金の支給停止基準額は、毎年の見直し対象です。
2025年度3月までの在職老齢年金の支給停止基準額は51万円でしたが、2026年4月からは65万円となり一気に14万円も引き上げられました。
その前の年の2024年度3月までの在職老齢年金の支給停止基準額は50万円でしたので、前年度の上げ幅1万円と比較して、今回の上げ幅は例年に比べてかなり大きいものとなりました。
今年度の在職老齢年金の支給停止基準額の大幅引き上げは、以下の背景が考えられます。
今までは一定以上働くと年金額が減額されるため、高齢者の就労意欲を阻害して働くことを控える高齢者が多かったのが現実です。
少子高齢化による労働力人口の減少により、人手不足の企業が多くあります。
在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げにより、高齢者にとって働き続けやすい環境を整えることができます。
今までは定年後は年金生活が前提でしたが、年金だけでは生活が難しくなっていることなどにより、できるだけ長く働きながら年金を受給するライフスタイルの変化も背景の一つです。
このように、2026年4月から在職老齢年金制度の支給停止基準額が引き上げられました。
これにより、働きながら年金を受給する高齢者が増えていくことが考えられます。
高齢者の活用などによる人手不足の解消などについて、知りたいことや疑問点などがございましたら是非一度当事務所にご相談ください。