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社会保険料の算出の基になる標準報酬月額や標準賞与額の決定方法について

社会保険料の算出の基になる標準報酬月額や標準賞与額の決定方法について


記事作成日:2023/10/31

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健康保険や厚生年金保険の被保険者は、給与や賞与時に健康保険料や厚生年金保険料を支払わなければなりません。
さらに、40歳以上の方は、介護保険料も健康保険料と一緒に給与や賞与から控除されます。
この社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)は、労使折半となり事業主と被保険者で半分ずつ支払います。
また、社会保険料の算出の基になる標準報酬月額や標準賞与額が被保険者ごとにそれぞれ異なるため、社会保険料の金額も被保険者ごとに異なるのです。

今回は、社会保険料の算出の基になる標準報酬月額や標準賞与額がどのように決定されるのかについて分かりやすく解説していきます。

1.標準報酬月額

毎月の給与時の社会保険料は、被保険者ごとに決められた標準報酬月額により決定されます。
標準報酬月額とは、被保険者の報酬月額(税引き前給与額など)を、一定の幅の等級に分けて決定される金額のことです。
健康保険(介護保険)の標準報酬月額は、現状では1等級(5万8千円)から50等級(139万円)までに分けられています。
一方、厚生年金保険の標準報酬月額は、現状では1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までに分けられています。

標準報酬月額には上限、下限が設定されているため、実際の報酬月額が上限の標準報酬月額を上回った場合でも標準報酬月額は上限の標準報酬月額です。
また、実際の報酬月額が下限の標準報酬月額を下回った場合でも標準報酬月額は下限の標準報酬月額です。
社会保険料額(健康保険料額、介護保険料額、厚生年金保険料額)は、以下の計算式により算出されます。
標準報酬月額 × 社会保険料率(健康保険料率、介護保険料率、厚生年金保険料率)
この計算式で算出された社会保険料を、事業主と被保険者で半分ずつ支払うことになります。

2.標準賞与額

賞与時の社会保険料は、被保険者ごとに決められた標準賞与額により決定されます。
標準賞与額は、被保険者の税引き前賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。

3.標準報酬月額の決定方法

毎月の社会保険料は、被保険者一人一人の標準報酬月額によって変わってきますが、標準報酬月額は一度決まったらずっと同じ等級というわけではありません。
給与額の変動などにより標準報酬は変動していくため、基本的にはその額に見合った標準報酬月額に変動していきます。
ただし、毎月毎月標準報酬月額を見直していくわけではなく、標準報酬月額の決定タイミングは大きく分けて以下の3つの決定方法があるのです。
それぞれの決定方法について、見ていきます。

(1)定時決定

定時決定とは、1年ごとに標準報酬月額を見直す一般的な標準報酬月額の決定方法です。
毎年7月1日現在に使用されている被保険者が4月、5月、6月(いずれも支払基礎日数17日以上)に受け取った報酬総額を、その期間の総月数(3か月)で割ることにより被保険者の報酬月額を算出します。
4月、5月、6月に支払基礎日数が17日未満の月がある場合には、17日未満の月を除いた残りの月の報酬総額を、残りの月数で割ることにより報酬月額を算出します。
算出された報酬月額から、標準報酬月額と等級が決まるのです。
定時決定により決まった標準報酬月額は、基本的にはその年の9月から翌年8月までの1年間使用することになります。

(2)随時改定

随時改定とは、昇給や降給などにより固定的賃金が従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合であって、厚生労働大臣が必要と認めた場合、標準報酬月額を改定する方法です。
2等級以上の差は、従前の標準報酬月額と変動月から継続した3か月間に受け取った報酬総額を3で割った額に対応する標準報酬月額との差です。
実際に標準報酬月額を改定する時期は、変更後の報酬を初めて受け取った月から起算して4か月目になります。

(3)資格取得時決定

資格取得時決定は、就職、転職などで新たに被保険者の資格を取得した場合に、その時の報酬に基づき報酬月額を決定する方法です。
1月1日から5月31日までの間に被保険者資格を新たに取得した場合は、資格取得時決定による標準報酬月額を資格取得月からその年の8月までを使用し、9月からは定時決定による標準報酬月額を使用することになります。
6月1日から12月31日までに被保険者資格を新たに取得した場合は、資格取得時決定による標準報酬月額を資格取得月から翌年8月まで使用し、翌年の9月からは定時決定による標準報酬月額を使用することになります。

まとめ

社会保険料の基となる標準報酬月額は、このような方法により決定されます。
定時決定の手続きは、毎年7月10日まで(土曜または日曜の場合は翌営業日まで)に日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に「算定基礎届」を提出します。
随時改定の手続きは、速やかに日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届」を提出します。
資格取得時決定の手続きは、被保険者を雇用した日から5日以内に日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に「被保険者資格取得届」を提出します。
標準報酬月額についてわからないことがありましたら、当事務所に是非ご相談ください。

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