社会保険、労働保険手続・労務相談・助成金申請・給与計算など幅広く対応 | 兵庫県神戸市中央区の「トラスト社会保険労務士法人」

受付時間【9:00~18:00】※土日祝除く

TEL:078-325-3130

ARTICLE

労働者の試用期間

労働者の試用期間


記事作成日:2023/12/28

画像

企業が新規に労働者を雇い入れる場合、多くの企業では履歴書、職務経歴書などの応募書類や、数回の面接だけで採否を決定することがほとんどでしょう。
しかし、実際には業務を始めてからでなければ、本当に採用してよかったのかはわかりません。
採用した労働者が本当に必要な人材なのかや、適性や能力を正しく判断するのが難しいのが現実です。
そのため、本採用を決定するまでの一定の期間を「試用期間」として、人材を見極めて適正や能力を正しく判断する期間としている企業が多々あります。
今回は、試用期間とはどのような期間なのかや、試用期間中の給与や、社会保険の取り扱いについてもわかりやすく解説していきます。

1.試用期間とは?

試用期間とは、新たな労働者を雇用する場合、本採用の前に一定の期間を設けることでその労働者の能力や勤務態度などが適正かどうかを判断する期間のことです。
企業が労働者を雇用するには雇用契約書や労働条件通知書などを作成し、労働条件を明示しなければなりません。
これは試用期間であっても例外でなく、労働条件の明示や、雇用契約の締結は必要です。

2.試用期間の長さ

試用期間の長さは労働基準法では制限をされてはいないため、企業ごとに長さを決めることができます。
ただし、試用期間が長すぎる場合には労働者の立場を不安定にさせるため、あまり長い期間を設定することは止めた方がよいでしょう。
統計によると試用期間を3か月にする企業が最も多く、試用期間を1か月から6か月までの間で設定している企業がほとんどです。
試用期間の延長は原則として認められていませんが、延長の可能性、事由、期間などが就業規則などで明示されていれば、労働者の同意を条件に延長ができます。

3.試用期間中の給与

試用期間中であっても企業と労働者が雇用契約を結んで勤務しているため、企業側が労働者に給与を支払わなければなりません。
ただし、雇用契約書や労働条件通知書などに記載があり企業と労働者との合意がある場合は、本採用よりも給与を低く設定することは可能です。
また、条件を満たして試用期間中の労働者の給与を低く設定する場合でも、最低賃金よりも低く設定することはできません。

4.試用期間中に解雇をする場合

試用期間の契約は「解約権留保付労働契約」といい、企業が解約を留保できる権利が付与されている労働契約です。
そのため、試用期間中の解雇は本採用後の解雇よりも解雇の自由が広範囲で認められています。
しかし、試用期間中の労働者を解雇するには、客観的に合理的な理由が存在して、社会通念上相当と認められている場合でなければ簡単には解雇はできないのです。
客観的で合理的な理由がない解雇は、不当解雇とみなされる可能性があるため注意が必要です。
労働者を解雇するには、労働基準法第20条では少なくとも30日前にその予告をしなければならないとされています。
また、30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
この解雇予告や解雇予告手当の支払いは、労働基準法の第21条で試用期間中14日以内の労働者には適用されないと定義されています。
ただし、14日を超えて引き続き使用される場合は、解雇予告や解雇予告手当の支払いが適用されますので注意が必要です。

5.試用期間中の社会保険の取り扱い

試用期間中であっても、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の加入条件を満たした場合には、それぞれの社会保険に加入しなければなりません。
社会保険の加入日は雇用関係が生じた日からになりますので、試用期間中の場合は本採用からではなく試用期間が開始した入社日からの加入になります。

まとめ

試用期間とは、採用した労働者の適性や能力を正しく判断するのため正採用前に設ける期間のことです。
しかし、試用期間中に適性や能力がないと判断しても、客観的に合理的な理由が存在して、社会通念上相当と認められている場合でないと解雇することはできません。
試用期間であっても雇用契約は発生しますので、法に準じた対応は必要です。
労働者の試用期間について詳しく知りたい場合は、是非一度当事務所にご相談ください。

給与計算、就業規則、社会保険、労働社会保険など労務管理事務について
トラスト社会保険労務士法人へのご依頼・ご相談は