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社会保険料の定時決定のための算定基礎届の提出

社会保険料の定時決定のための算定基礎届の提出


記事作成日:2024/1/22

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厚生年金保険や健康保険の加入要件を満たした従業員は、厚生年金保険料や健康保険料の社会保険料を支払わなければなりません。
社会保険料は、毎月の給与と賞与時の天引きにより事業主と被保険者が折半して支払います。
毎月の社会保険料は、被保険者ごとの報酬額により決定された標準報酬月額を基に決定されるのです。
また、賞与時の社会保険料は、被保険者の税引き前の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額により決定されます。
この毎月の社会保険料算出の基となる被保険者ごとの標準報酬月額は、基本的に毎年1回定時決定という方法で決定されます。
定時決定による標準報酬月額を決定するために、事業主は全被保険者の3か月間(4月、5月、6月)の報酬月額を毎年1回日本年金機構に提出しなければなりません。
この提出する書類のことを、「算定基礎届」といいます。

今回は、算定基礎届の提出と社会保険の定時決定についてわかりやすく解説していきます。

1.標準報酬月額

標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受けとる税引き前の給料などの報酬額を、一定の範囲ごとに区分した報酬月額から決定される金額のことです。
厚生年金保険の標準報酬月額は1等級(8万8千円)から32等級(65万円)に分類されていて、健康保険の標準報酬月額は1等級(5万8千円)から50等級(139万円)に分類されています。

2.毎月の社会保険料の算出方法

社会保険料は毎月の給与時に事業主と被保険者が折半して支払いますが、以下の計算式で算出されます。

(1)被保険者の負担する毎月の厚生年金保険料の算出方法
標準報酬月額×保険料率(18.3%)÷2(事業主と被保険者が折半)

(2)被保険者の負担する毎月の健康保険料の算出方法
標準報酬月額×保険料率(協会けんぽと組合健保ごとに異なる)÷2(事業主と被保険者が折半)

3.定時決定とは?

被保険者ごとの社会保険料を算出するには被保険者の標準報酬月額を利用しますが、標準報酬月額は昇給などにより変動する可能性があります。
そのため、実際の報酬と標準報酬月額との差が大きくなる可能性があり、これを防ぐため毎年1回標準報酬月額の見直しが義務付けられているのです。
この毎年1回の標準報酬月額の見直しの手続きのことを、定時決定といいます。

4.定時決定による標準報酬月額の決定

定時決定は、7月1日現在で事業主が使用している被保険者全員について行われます。
被保険者ごとの4月、5月、6月の3か月間(いずれも支払基礎日数17日以上)の報酬の総額をその期間の総月数で割った額を報酬月額として、標準報酬月額を決定するのです。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者の場合は、いずれも支払基礎日数11日以上の4月、5月、6月の3か月間で計算します。
4月、5月、6月の3か月間に支払基礎日数17日未満(短時間労働者の場合は11日未満)の月がある場合は、17日未満の月を除いた残りの月の報酬総額で標準報酬月額を算定します。
4月、5月、6月の3か月間とも17日未満の場合は、従前の報酬月額から標準報酬月額を算定するのです。
支払基礎日数とは、報酬の支払い対象となった日数のことです。

5.算定基礎届による定時決定の手続き

この標準報酬月額の定時決定の手続きのために、事業主は「算定基礎届」という書類を提出しなければなりません。
算定基礎届には、定時決定の対象者ごとの支払基礎日数、4月、5月、6月に支払われた報酬額、その平均額などを記載します。
提出した算定基礎届の内容に基づいて、毎年1回定時決定による標準報酬月額が決定されるのです。
定時決定で決まった標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月までの1年間使用します。
算定基礎届は、毎年7月10日まで(10日が土曜または日曜の場合は翌営業日まで)に日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
提出方法は、電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参です。

6.算定基礎届の提出対象者

算定基礎届を提出しなければならない対象者は、7月1日現在事業主に使用されるすべての被保険者および70歳以上の被用者です。
ただし、以下のいずれかに該当する方は、算定基礎届の提出が不要になります。

(1)6月1日以降に資格取得した場合
(2)6月30日以前に退職した場合
(3)7月改定の月額変更届を提出する場合
(4)8月または9月に随時改定が予定されている申し出を行った場合

まとめ

標準報酬月額の決定は、基本的に毎年1回定時決定により行われます。
ただし、定時決定では標準報酬月額を決定できない場合などは、資格取得時決定や随時改定などの方法で決定するケースがあります。
資格取得時決定は、就職や転職などで被保険者の資格を取得した際にその時の報酬に基づいて標準報酬月額を決定する方法です。
随時改定は、昇給や降給により報酬額が大幅に変動した場合に標準報酬月額を改定する方法です。
定時決定のための算定基礎届の記入方法などについて詳しく知りたい場合は、是非一度当事務所にご相談ください。

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