残業代、深夜残業、休日出勤等についての割増賃金について
記事作成日:2023/4/12
労働基準法では、法定労働時間を越える時間外労働、法定休日の労働、深夜時間の労働を行った場合には、通常の賃金に加えて割増賃金を支払うことが定められています。
割増賃金は、法定時間外労働、法定休日の労働、深夜労働においてそれぞれ決められた割増率以上の金額を支払うこととされています。
今回は、割増賃金の仕組みや、割増率などについて詳しく解説していきます。
労働基準法では、原則1日8時間以内、かつ1週40時間以内を「法定労働時間」として、労働時間の限度と定めています。
即ち、使用者は、原則法定労働時間を超えて労働者を労働させてはいけないことになっているのです。
また、労働基準法では、休日は1週間に少なくとも1回、または4週間に4回以上与えなければならないと定められています。
この休日のことを「法定休日」としていて、労働者は原則法定休日に労働してはいけないことになっています。
使用者がこの法定労働時間や法定休日の原則に違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性がありますので注意が必要です。
ただし、労使で36協定を締結して、労働基準監督署に提出した場合は、法定労働時間を越えて労働させても、法定休日に労働させてもこの限りではありません。
労働者が1日8時間かつ1週40時間の法定労働時間を越えて労働した場合には、使用者は通常の賃金に加えて割増率25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
例えば、ある会社の1日の所定労働時間が7時間であった場合、所定労働時間の7時間を越えた時間外労働であっても、法定労働時間の8時間を越えるまでは、割増賃金を支払う必要はありません。
即ち、この場合、所定労働時間を越えた1時間の時間外労働は通常の賃金の支払いで、法定労働時間を越えた時間外労働については割増率25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
また、大企業は、法定労働時間を越える時間外労働が60時間を越えた場合には、越えた分の時間外労働に対して割増率50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
現状、中小企業は、法定労働時間を越える時間外労働が60時間を越えても、割増率25%以上の割増賃金を支払えばよいことになっています。
ただし、2023年の4月1日からは中小企業も大企業と同様に、60時間を越えた分の時間外労働に対して、割増率50%以上の割増賃金を支払わなければならなくなりますので注意が必要です。
労働者が1週間に少なくとも1回または4週間に4回以上与えられる法定休日に労働した場合には、使用者は通常の賃金に加えて割増率35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
ただし、法定休日以外に使用者によって労働者が与えられる所定休日に労働した場合には、通常の賃金を支払えばよく、割増賃金の支払いは必要ありません。
労働者が午後10時から翌日午前5時までの深夜時間に労働した場合には、使用者は通常の賃金に加えて割増率25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
深夜時間の労働に対する割増賃金は、重複して発生することがあります。
法定労働時間を越える時間外労働が深夜時間になった場合には、割増率の合計が50%以上(25%+25%)の割増賃金を支払わなければなりません。
また、法定休日に対する労働が深夜時間になった場合には、割増率の合計が60%以上(35%+25%)の割増賃金を支払わなければなりません。
このように、労働者が法定労働時間を越えて労働をした場合には、使用者は通常の賃金に加えて割増率25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
また、労働者が法定休日に労働をした場合には、使用者は通常の賃金に加えて割増率35%以上の割増賃金を支払う必要があります。
労働者が午後10時から翌日午前5時までの深夜時間に労働した場合には、使用者は通常の賃金に加えて割増率25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
割増賃金を支払わなかった場合には、労働基準法に定められた「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則の可能性がありますので注意が必要です。