会社のルールブック「就業規則」の必要性について
記事作成日:2023/10/31
今回は就業規則がない会社や以前作ったきりになっている方でも分かわかりやすいように、就業規則の必要性について詳しく解説していきます。
「会社のルールブック」とも言われる就業規則は、従業員の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、会社内の規律などについて定めた規則集です。
会社でのルールを定め、会社と従業員双方がそれを守ることで従業員が安心して働くことができ、労使間の無用のトラブルを防ぐことができるので、就業規則の役割はとても重要です。
常時10人以上の労働者を雇用している会社(個人経営も含む)は、就業規則の作成と労働基準監督署への届け出が労働基準法により義務付けられています。
また、就業規則は作成して届け出るだけでなく、従業員に対して周知する必要があります。就業規則を各事業所に掲示する、冊子にして配布する、社内システムの中に誰でも見られるように保存などの方法で従業員への周知も徹底しなくてはなりません。
労働基準法で義務づけられているから、という理由だけではなく、就業規則の作成は経営者にとっても必要な取り組みの1つといえます。その理由は3つあります。
1)経営側の判断軸を定めるため
就業規則を定めることによって、会社は常に規則にもとづいた公平な判断ができるようになります。
また、会社の理念を記載することもできるので、従業員に経営者側の考えを伝えることもできます。
2)労働者とのトラブルを未然に防ぐため
従業員と会社のあいだに起きる残業、解雇、有給取得などに関するトラブルの多くは、労使間のコミュニケーション不足や、慣例・慣習による「無言のルール」の横行などによります。会社のルールを就業規則として明文化しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、万一の際は規則に則った適切な対応をとることができます。
3)従業員のモラルやパフォーマンスの向上のため
会社の秩序を維持し、働きやすい職場環境を作るためのルールとして服務規律を定めることができます。モラルに反する行為を繰り返す従業員には懲戒や解雇などの処分を与える決まりを設けたり、仕事の内容を評価する明確な指針や、成果に対して公平かつ正当に報いる報奨制度などを就業規則上に明記しておくことで従業員のパフィーマンス向上も期待できます。
就業規則の作成手順について簡単にまとめると下記のとおりとなります。
1)労働基準法等に従って作成する
2)全従業員に周知する
3)過半数代表者に意見書を書いてもらう
4)就業規則作成(変更)届を提出労働基準監督署に提出する
参考:厚生労働省「就業規則を作成しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-4.pdf
最近では、従業員側が労働基準法や最低賃金法などについて知る機会が増えたために権利意識に目覚め、必要な要求をしてくるようになっています。会社はこれらの要求もふまえ、法令に則った上で、会社の実情にあわせた就業規則の作成が求められています。
就業規則の作成や今ある規程の見直しについては、専門家である社会保険労務士にお任せください。