休日労働の代わりの代休と振替休日の違い
記事作成日:2023/11/17
従業員が本来休日だった日に労働をした場合、代わりに所定の労働日を休日にするケースがあります。
休日だった日の代わりの休日のことを状況によって代休や振替休日といいますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、休日労働の代わりの代休と振替休日の違いについて分かりやすく解説していきます。
代休とは、従業員が休日労働を行った場合、その代償として休日労働を行っ日以後の特定の労働日を休みとするものです。
代休になるポイントは、休日労働を行った後に特定の労働日を代わりの休日に設定したかどうかになります。
休日労働を行う前に特定の労働日を代わりの休日に設定した場合は、代休にはなりません。
振替休日とは、予め休日として定められていた日に労働を行う代わりに、特定の労働日を休日に設定することをいいます。
振替休日は、予め休日として定められていた日に労働をする前日までに、代わりの休日を設定しなければなりません。
即ち、予め休日と定められた日を労働日とする代わりに、労働日を休日に交換するのが振替休日なのです。
代休とは、休日労働が行われた後に代わりに特定の労働日を休日とすることです。
振替休日とは、休日労働が行われる前日までに特定の労働日を休日を振り替えることです。
即ち、代休の場合は、休日労働をした時には代わりの休日が決まっていない状態になります。
そのため、休日労働をした日が法定休日だった場合には、法定休日に対する割増賃金が発生するのです。
一方、振替休日の場合は、休日労働をした時には代わりに振り替える休日が決まっている状態になります。
そのため、休日労働をした日が法定休日であったとしても、法定休日に対する割増賃金が発生しないのです。
代休は、就業規則に記載していなくても従業員に取得させることができます。
代休の取得は法律上義務付けられていないため、会社それぞれにより設定できるのです。
しかし、制度を設ける場合には、代休の取得方法、代休の有効期限、割増賃金が発生することなどについては、トラブルを避けるためにも記載しておいた方がよいでしょう。
一方、従業員が振替休日を取得できるようにするには、就業規則に規定を設けなければなりません。
法定休日に休日労働を行い代休を取得した場合は、休日労働に対して35%以上の割増賃金が必要になります。
また、休日労働が深夜業となった場合、休日労働に対しての35%以上の割増賃金と深夜業の場合の25%以上の割増賃金(合計60%以上の割増賃金)が必要です。
法定休日に休日労働を行い振替休日を取得した場合、休日労働に対する割増賃金は発生しません。
ただし、休日労働した時間が法定労働時間を越えた場合は、時間外労働に対しての25%以上の割増率の割増賃金が必要になります。
また、休日労働が深夜業となった場合、深夜に対しての25%以上の割増賃金が必要です。
休日労働した時間が法定労働時間を越えてさらに深夜業になった場合、時間外労働に対しての25%以上の割増賃金と深夜業の場合の25%以上の割増賃金(合計50%以上の割増賃金)が必要です。
労働基準法41条に定められている以下の労働者は、法定労働時間、休憩、法定休日に関する規定に対して、適用除外対象としています。
そのため、就業規則に定めがない限り、代休や振替休日を与えなくてもよいとされています。
・林業を除く農林水産業に従事する者
・監督若しくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者
・監視または断続的労働に従事する者
このように、休日に労働した代わりに勤務日を休日とすることを代休といい、休日と勤務日を入れ替えることを振替休日といいます。
法定休日に労働して振替休日を取得した場合は、休日労働に対する割増賃金は不要です。
しかし、法定休日に労働して代休を取得した場合は、休日労働に対する割増賃金は必要になりますので注意が必要です。