会社都合で従業員を休ませる場合の休業手当について
記事作成日:2024/4/17
「ノーワークノーペイの原則」とは、従業員が何らかの理由により労働をしなかった場合には、会社側はその時間やその日の賃金を支払わなくてもよいという原則です。
すなわち、労働の提供は、賃金の支払いと対価関係にあるということです。
このノーワークノーペイの原則には例外があり、その中のひとつとして会社都合で従業員を休ませる場合の休業手当があります。
今回は、会社都合で従業員を休ませる場合の休業手当について分かりやすく解説していきます。
ノーワークノーペイの原則は、従業員が労働をしなかった時間は賃金を支払わなくてもよいという原則ですが、労働しなくても賃金が発生するケースがあります。
例えば、年次有給休暇や、会社で規定された慶弔休暇や、待機時間などです。
会社都合による休業も、ノーワークノーペイの原則が適用されないケースのひとつであり、この場合には会社側は従業員に休業手当を支払わなければなりません。
休業手当の支給対象者は、正社員のみならずパート・アルバイト、派遣社員など雇用形態を問わず全ての従業員です。
40万円×6 /1,000=2,400円
この会社員は、毎月の給与ごとに2,400円の雇用保険料が控除されます。
使用者の責に帰すべき事由による休業とは、従業員が労働できる状態にもかかわらず会社都合で休業させることをいいます。
そのため、台風や地震などの天災事変による休業は、使用者の責に帰すべき事由による休業にはならないため、休業手当の支払いは必要ありません。
また、会社都合の休業期間中であっても休日にまで、休業手当を支払う必要はありません。
休業手当の支給額は、平均賃金の100分の60以上になります。
平均賃金とは、直近3か月間に労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総労働日数で除した金額です。
この支給された休業手当は、課税対象です。
休業手当の計算式は、以下になります。
休業手当=直前3か月間の平均賃金×60%以上×休業日数
同じ労働基準法に定められていて、休業手当と間違えやすいものに休業補償があります。
休業補償とは、労働基準法76条に定められている補償のことです。
労働基準法76条では、従業員が療養のため労働することができず賃金を受けない場合は、平均賃金の100分の60の休業補償をおこなわなければならないと定められています。
休業手当の支給額は平均賃金の100分の60以上ですが、休業補償の補償額は平均賃金の100分の60(固定)です。
また、休業補償は、療養のため労働することができずに休業している間の休日にも支給されます。
一方、休業手当は、休業期間中の休日には支給されません。
他にも、休業手当は課税対象ですが、休業補償は非課税です。
このように、会社都合により従業員を休業させる場合には、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。
労務管理についてわからないことや疑問点などあれば、是非一度当事務所にご相談ください。