産前産後休業と出産手当金
記事作成日:2024/6/14
従業員が産前産後休業を取得する場合、この期間の従業員への給与の支給は無給でも問題ありません。
産前産後休業期間中の給与の支給が無給の場合には、健康保険から被保険者に出産手当金が支給される可能性があります。
今回は、産前産後休業と出産手当金について解説していきます。
産前産後休業とは、労働基準法65条に定められた出産前後の女性が取得できる休業期間のことです
産前休業は、出産の日(実際に出産した日が予定日より後の場合は出産予定日)以前42日(6週間)から取得できる休暇のことです。
また、双子などの多胎妊娠の場合は、出産の日(実際に出産した日が予定日より後の場合は出産予定日)以前98日(14週間)から取得できます。
産前休業は、従業員本人が希望した場合に取得できる休暇のため、従業員本人が希望しなければ取得させなくても問題ありません。
産後休暇とは、出産の翌日以後56日(8週間)まで取得できる休暇です。
産前休暇は、本人が希望しなくても取得させなければなりません。
ただし、産後6週間を経過していれば、医師が支障がないと判断した業務であれば勤務することが可能です。
産前産後休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料は、申請すれば被保険者と事業主両方の負担が免除されます。
産前産後休業期間中の給与の支給については、事業主が自由に決めることができます。
ただし、産前産後休業期間中が有給であるか無給であるかは、トラブルを避けるためにも就業規則などに定めておくとよいでしょう。
産前産後休業期間中が無給だった場合、従業員にとっては収入が減ることになります。
このような産前産後休業期間中の生活の安定を図るため、健康保険では条件を満たした場合に出産手当金という給付を行なっています。
出産手当金は、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産日の翌日以後56日までの間で会社を休んだ日が無給だった場合に、健康保険から給付される給付のことです。
出産手当金は、以下の要件をすべて満たした場合に支給されます。
出産手当金を受給できるのは健康保険被保険者だけであり、被扶養者は受給できません。
妊娠4か月(85日)以後の出産とは、流産、死産、人工妊娠中絶なども含みます。
出産手当金を受給するためには、原則出産のために休業していて会社から賃金を受け取っていないことが条件です。
ただし、賃金を受け取っていても、受け取った日額が出産手当金の日額よりも少ない場合は、その差額分が出産手当金として支給されます。
・資格喪失の日の前日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
・退職日が出産手当金の支給期間内に含まれていること
・退職日に出勤していないこと
出産手当金の支給額は、以下の計算式により計算できます。
1日当たりの出産手当金の金額=支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
出産前後の従業員がいる場合、産前産後休業を取得することになります。
産前産後休業を取得する従業員に対する労務管理は、イレギュラーなことも発生する可能性もあるでしょう。
産前産後休業を取得する従業員に対する労務管理について疑問点等がございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。