労働基準法における休憩時間とは?
記事作成日:2024/7/16
1日の労働時間を法定労働時間の8時間以内に設定している会社は多いですが、一定時間労働した場合には休憩時間を必ず入れなければなりません。
なぜなら、休憩時間は、従業員の肉体や精神の疲労を取るためには大切な時間であり、労働基準法でも休憩時間について定められているからです。
今回は、労働基準法における休憩時間の定義や、意味などについて解説していきます。
労働基準法第34条で休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間与えなければならないと定められています。
労働基準法における休憩時間は、正社員だけに与えて、パートやアルバイトなどの非正規社員には与えないということはできません。
例えば。所定労働時間が8時間を超えているのに、休憩時間を45分と労働契約に定めていた場合は、この部分に関しては無効になります。
この場合、従業員は少なくとも1時間の休憩時間を取得できる権利があるので、注意が必要です。
また、労働基準法に定められた休憩時間は、あくまでも最低基準であるため、この時間よりも長い時間の休憩時間を与えることは、まったく問題ありません。
一方、労働時間が6時間未満の場合には、休憩時間をまったく与えなくても問題はないのです。
労働基準法における休憩時間には、「途中に」「一斉に」「自由に」という三原則がありますので、それぞれの原則について見ていきます。
休憩は、就業前や終業後に与えても、疲労の回復や健康の維持にはまったく意味はありません。
労働基準法では、休憩時間は労働時間の途中に設定しなければならないと定められています。
ほとんどの会社では、昼のランチの時間に休憩時間を設定していますが、労働時間の途中であればどの時間に休憩時間を設定しても問題ありません。
労働基準法では、休憩時間は一斉に取得するように設定しなければならないと定められています。
この原則により、同じ事業所に勤務するパートタイマーやアルバイトなどを含む全従業員が、一斉に休憩時間を取得しなければなりません。
休憩時間は、就業規則に必ず記載しなければならない事項のため、従業員ごとに異なった時間に設定したり、従業員の好きな時間帯に取得させることは原則できません。
ただし、休憩時間を一斉でなく従業員ごとに個別に付与することを労使協定で締結している場合は、一斉付与でなく取得させることが可能です。
また、休憩時間の一斉付与が難しい運送、販売、理容などの一定の業種については、一斉付与の原則が適用対象外になりますので注意が必要です。
労働基準法では、休憩時間は自由に利用させなければならないと設定されています。
休憩時間は、従業員が労働から開放されて、その時間の使い方は自由でなければなりません。
そのため、休憩時間に来客対応や電話対応などをしている場合は、労働から解放されてるとはいえず休憩時間にはなりません。
待機時間などの手待ち時間も労働から解放されてるとはいえないため、労働時間になります。
休憩時間に行われるランチミーティングは、強制参加の場合や、参加しないと不利益を被る場合は、休憩時間にはなりません。
また、自由利用の原則の例外として、警察官、消防吏員、常勤の消防団員などの一定の業種については、適用除外としています。
このように、従業員の休憩時間を設定するためには、注意しなければならないことが多々あります。
また、労務管理では、休憩時間だけでなく労働時間や休日など様々なことを考えなければなりません。
従業員の労務管理定について疑問点等がございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。