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定額減税の実施による住宅ローン控除への影響

定額減税の実施による住宅ローン控除への影響


記事作成日:2024/7/16

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住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅の購入や増改築した場合に、一定の条件を満たせば所得税などから控除される制度です。
また、令和6年6月より定額減税が実施されていますが、定額減税は所得税や住民税から控除される仕組みです。
そのため、定額減税の実施は、同じように所得税などから控除される住宅ローン控除に影響を与えるように見えますが、実際には影響はありません。
今回は、定額減税が実施されても、住宅ローン控除への影響がない理由について解説していきます。

1.住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して新築住宅や中古住宅の購入、増改築などをした場合に、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が所得税などから控除される制度です。
住宅ローン控除により所得税の控除を行っても所得税から控除しきれなかった場合は、一定の条件を満たした場合に控除しきれなかった金額は翌年の住民税から控除されます。 
住宅ローン控除は、令和7年12月31日までに対象の住宅に入居した場合に適用され、控除される期間は最大13年(既存住宅の増改築は最大10年)です。
住宅ローン控除を受けるには、住宅を購入や増改築をした初年度は確定申告が必要で、2年目からは会社での年末調整で行われます。

2.定額減税とは?

定額減税には、所得税に対する定額減税と住民税に対する定額減税があります。
令和6年分の所得税の定額減税は、納税者および扶養親族1人につき3万円が所得税から控除されます。
例えば、扶養親族が2人の納税者であれば、所得税から9万円が控除される計算です。
令和6年度分の個人住民税の定額減税は、納税者および扶養親族1人につき1万円が個人住民税から控除されます。
例えば、扶養親族が2人の納税者であれば、個人住民税3万円が控除される計算です。
給与所得者に対する所得税の定額減税の事務処理は、「月次減税事務」と「年調減税事務」の2種類があります。
月次減税事務とは、令和6年6月1⽇以後に最初の給与や賞与から天引きされる源泉徴収税額から、6月時点の納税者と扶養状況による定額減税額を控除する事務のことです。
最初の給与や賞与で控除しきれなかった定額減税額分は、以降に⽀払う令和6年中の給与や賞与から天引きされる源泉徴収税額から順次控除していきます。
年調減税事務とは、年末調整時点の納税者と扶養状況により定額減税額を決定して、年末調整にて年間の所得税額との精算を行う事務のことです。

3.定額減税が実施されても、住宅ローン控除への影響がない理由

定額減税が実施されても、住宅ローン控除への影響はありません。
なぜなら、定額減税は、住宅ローン控除後の金額に対して適用されるからです。
年末調整時の所得税額の算出は、以下の順番で行われます。

(1)差引課税給与所得金額の算出

まずは、給与などの収入の総額から、給与所得控除額を控除して給与所得控除後の給与等の金額を算出します。
この算出された給与所得控除後の給与等の金額から、扶養控除等の所得控除額などを控除することで差引課税給与所得金額が算出可能です。

(2)所得税額の算出

算出された差引課税給与所得金額に、所得税率を掛けることで算出所得税額が算出できます。
この算出所得税額に対して、住宅ローン控除を行うことで年調所得税額が算出可能です。
定額減税の額である年調減税額は、住宅ローン控除後の年調所得税額から控除されます。
すなわち、住宅ローン控除は定額減税を控除する前に行われるため、定額減税が実施されても住宅ローン控除に影響することはないのです。

まとめ

このように、2024年は定額減税が実施されるため、給与計算や年末調整の事務が例年とは異なる部分があります。
定額減税に対する事務について疑問点等がございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。

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