時間外労働、休日労働をさせる場合の36協定について
記事作成日:2024/8/19
労働基準法では、使用者は労働者に原則1日8時間、1週40時間を超えて労働をさせてはならないと定められていて、この時間のことを法定労働時間といいます。
また、労働基準法では、休日は1週間に少なくとも1回、4週間に4回以上を与えなければならないと定められていて、この休日のことを法定休日といいます。
労働者に法定労働時間を超えて労働させる場合や、法定休日に労働させる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)を労使で締結しなければなりません。
今回は、時間外労働、休日労働をさせる場合の36協定について解説していきます。
36協定とは、労働基準法第36条に定められていて、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届」といい、労使協定の1つです。
36協定は、労働者に法定労働時間や法定休日を超える労働を命じる場合に労使で締結し、所轄労働基準監督署長に届出しなければなりません。
法定労働時間を超える時間外労働や、休日労働に対する36協定には、該当する以下のことを記載しなければなりません。
・起算日
・有効期間
・時間外労働をさせる必要のある具体的事由
・休日労働をさせる必要のある具体的事由
・時間外労働の対象となる業務の種類と労働者数
・休日労働の対象となる業務の種類と労働者数
・法定労働時間を越えて延長することができる時間数(1日、1か月、1年後)
・労働させることができる法定休日の日数や始業および終業の時刻
36協定を締結しても、無制限で時間外労働をさせてもよいわけではありません。
36協定締結後の時間外労働は、1か月45時間、1年360時間の上限時間が決められていて、原則この上限時間を超えることはできません。
ただし、臨時的、特別的な事情がある場合には、36協定に「特別条項」を定めることで、例外的に1か月45時間、1年360時間の時間外労働の上限時間を超えて働かせることが可能です。
36協定に特別条項を定める場合には、時間外労働は、1年720時間以内にする必要があります。
時間外労働+休日労働は、月100時間未満で、2〜6か月平均80時間以内にしなければなりません。
また、原則の時間外労働上限時間である月45時間を超えることができるのは、年6か月までです。
36協定締結や運用に関しては、いくつかの以下の注意点があります。
・労使協定の締結
36協定は、労働者の過半数で組織する労働組合、その労働組合がない場合は 労働者の過半数を代表する者と締結する必要があります。
最近では労働組合の組織率が低下しているため、36協定の締結はほとんどが労働者の過半数を代表する者との締結です。
労働者の過半数を代表する者の選出方法を間違えると、選出方法の適正性が問題になる可能性がありますので注意が必要です。
・36協定に違反した場合の罰則
36協定に違反すると、労働基準法違反により6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金に科せられる可能性がありますので注意が必要です。
・時間外労働に対する割増賃金
法定労働時間を超える労働に対しては、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
また、1か月の労働時間が60時間を超える場合には、50%以上の割増賃金を支払う必要がありますので注意が必要です。
このように、労働者に法定労働時間を超えて労働させる場合や、法定休日に労働させる場合には、36協定を締結しなければなりません。
時間外労働や休日労働などの給与計算や労務について疑問点等ございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。