健康保険、厚生年金保険、介護保険の概要や計算方法について
記事作成日:2024/8/30
社会保険制度とは、病気、ケガ、高齢、失業、労働災害、介護などの生活のリスクに備えて、生活を保障するための公的制度のことです。
社会保険の定義は、広義の社会保険と狭義の社会保険の2種類に分かれます。
広義の社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類のことをいいます。
一方、狭義の社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険の3種類のことです。
今回は、狭義の社会保険である健康保険、厚生年金保険、介護保険の概要や保険料の計算方法について解説していきます。
狭義の社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険のことで、概要は以下の通りです。
健康保険とは、病気、けが、休業、出産、死亡などに対し給付を行う日本の公的医療保険制度です。
厚生年金保険とは、被用者に対する日本の公的年金制度で、老齢、障害、死亡などに対し年金や一時金などの給付を行います。
介護保険とは、65歳以上で要介護または要支援状態になった方が介護サービスなどを利用した時に費用の一部が給付される制度です。
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、毎月の給与時は標準報酬月額、賞与時は標準賞与額を基準に決定されます。
ここでは、標準報酬月額、標準賞与額について、解説していきます。
標準報酬月額とは、被保険者の毎月の基本給、残業手当、通勤手当などを含めた税引き前の給与額などを、一定の幅に区分された報酬月額に当てはめた等級に振り分けて決定される金額のことです。
介護保険を含む健康保険の標準報酬月額は、1等級(5万8千円)から50等級(139万円)までに分類されていて、厚生年金保険の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までに分類されています。
標準賞与額とは、被保険者の税引き前の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額のことです。
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に保険料率を掛けて算出された保険料を事業主と被保険者で折半して支払います。
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の計算方法は、以下になります。
毎月の給与に対する事業主と被保険者の折半後の健康保険料は、標準報酬月額 × 健康保険料率 ÷ 2で計算できます。
また、賞与に対する事業主と被保険者の折半後の健康保険料は、標準賞与額 × 健康保険料率 ÷ 2です。
健康保険料率は、健康保険組合ごとに異なります。
毎月の給与に対する事業主と被保険者の折半後の厚生年金保険料は、標準報酬月額 × 厚生年金保険料率(18.3%) ÷ 2で計算できます。
また、賞与に対する事業主と被保険者の折半後の厚生年金保険料は、標準賞与額 × 厚生年金保険料率(18.3%) ÷ 2です。
介護保険の被保険者は各市町村の40歳以上の住民ですが、65歳以上の方を第1号被保険者といい、40歳以上65歳未満の健保組合などの医療保険加入者を第2号被保険者といいます。
介護保険料は、満40歳になる日(40歳の誕生日の前日)が属する月から支払うことになりますが、第2号被保険者で健康保険の加入者は健康保険料と一緒に毎月の給与から天引きされます。
毎月の給与に対する事業主と被保険者の折半後の介護保険料は、標準報酬月額 × 介護保険料率 ÷ 2です。
また、賞与に対する事業主と被保険者の折半後の介護保険料は、標準賞与額 × 介護保険料率 ÷ 2です。
介護保険料率は、健康保険組合ごとに異なります。
このように、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、標準報酬月額や標準賞与額を基に決定されます。
この標準報酬月額は、基本的に毎年7月1日現在に使用されているすべての被保険者について、定時決定により1年ごとに見直します。
給与計算について疑問点などございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。