雇用保険、労災保険の概要や計算方法について
記事作成日:2024/9/17
日本の社会保険制度には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)の5種類があり、病気、ケガ、高齢、失業、労働災害、介護などの生活のリスクに備えています。
この社会保険制度の中で、労働者の保護や雇用の安定を図ることを目的とした保険制度を労働保険といいます。
労働保険は、労災保険と雇用保険を総称したものです。
今回は、社会保険制度の中で、雇用保険、労災保険の概要や保険料の計算方法について解説していきます。
雇用保険、労災保険の概要は、以下の通りです。
雇用保険とは、労働者が失業や再就職した場合、育児や介護のために休業した場合、教育訓練などを受けた場合に給付を行い、労働者の生活および雇用の安定を図り、就職の促進を図るための制度です。
労災保険とは、労働者が業務上または通勤が原因で負傷、疾病、障害、死亡した場合に必要な保険給付を行い、被災労働者や遺族を保護するための制度です。
雇用保険料は、健康保険料や厚生年金保険料と同様に被保険者と事業主とで支払わなければなりません。
ただし、被保険者と事業主とで折半する健康保険料や厚生年金保険料とは異なり、被保険者よりも事業主の方が多く雇用保険料を支払うことになります。
一方、労災保険料は、事業主が全額を負担するため、従業員が支払う必要はありません。
被保険者分の雇用保険料は、毎月の給与や賞与から控除され以下の計算式で算出されます。
雇用保険料=労働者に支払う賃金総額(給与額や賞与額)×被保険者負担分の雇用保険料率
雇用保険料率は、一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業の3種類の事業の種類ごとに異なるのが特徴です。
令和6年度分(令和6年4月1日から令和7年3月31日まで)の被保険者負担分の雇用保険料率は、一般の事業は6/1,000、農林水産・清酒製造の事業は7/1,000、建設の事業は7/1,000です。
雇用保険料と労災保険料の労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を保険年度として計算されます。
労働保険の保険料は、すべての労働者(雇用保険は被保険者)に支払われる保険年度の賃金の総額に、事業ごとに定められた保険料率を乗じることで算定されます。
労働保険は、毎年6月1日から7月10日までに前年度の労働保険料を精算するための確定保険料の申告や納付と、先払いで新年度の概算保険料を納付するための申告や納付の手続きが必要です。
この手続きのことを「年度更新」といい、確定した確定保険料と、前年に納付した概算保険料との差額を納付または還付を受けます。
年度更新での労働保険料の額は、以下の計算方法により算出できます。
当年度中に支払う賃金総額(概算保険料の場合は賃金支払見込額) × 保険料率
令和6年度の労災保険料率、雇用保険料率は以下になります。
令和6年度の労災保険料率表
令和6年度の雇用保険料率表
※それぞれ外部リンク(厚生労働省の該当ページ)が開きます。
このように、雇用保険料は被保険者と事業主の両方が負担しますが、労災保険料は事業主のみが負担します。
また、雇用保険料と労災保険料の労働保険料は、年度更新により手続きをします。
労働保険料について疑問点などございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。