労災保険の保険給付について
記事作成日:2024/9/17
労災保険は、労働者災害補償保険の略称で、労働者の業務上または通勤途中の負傷、疾病、障害、死亡に対して保険給付を行い、労働者や遺族を保護するための制度です。
労災保険は、原則労働者を一人でも雇用する事業であれば、業種の規模の如何を問わず加入しなければなりません。
労災保険の加入対象者は、正社員、アルバイトやパートタイマーなど雇用形態は関係なく、職業の種類を問わず事業に使用され賃金を支払われるすべての労働者です。
今回は、労災保険の給付にはどのような給付があるのかについて解説していきます。
労災保険は、労働者が業務の途中または通勤途中に起こった事故などが原因で、負傷、疾病、障害、死亡した場合に保険給付を行いますが、労災保険には以下の給付があります。
療養(補償)等給付とは、業務災害または通勤災害による傷病のため、療養を必要とする場合に支給される給付のことです。
現物給付である「療養の給付」と、現金給付である「療養の費用の支給」の2種類があり、業務災害の場合は療養補償給付、通勤災害の場合は療養給付といいます。
休業(補償)等給付とは、業務災害または通勤災害による傷病が原因で療養するために休業し、賃金を受けない日の4日目以降から支給される給付のことです。
休業(補償)等給付の支給額は、休業1日につき給付基礎日額の60%です。
業務災害のための休業の場合は休業補償給付、通勤災害のための休業の場合は休業給付といいます。
傷病(補償)等年金とは、業務災害または通勤災害が原因の傷病により療養開始後、1年6か月経過後も治癒しないで第1級~第3級の傷病等級に該当する場合に支給される給付のことです。
傷病(補償)等年金は、給付基礎日額の313日~245日分が年金として支給され、業務災害が原因の傷病の場合は傷病補償年金、通勤災害が原因の傷病の場合は傷病年金といいます。
障害(補償)等給付とは、業務災害または通勤災害が原因による傷病が治癒して一定の障害が身体に残った場合、支給される年金または一時金のことです。
障害等級が第1級~第7級の場合は給付基礎日額の313日~131日分の障害(補償)等年金が支給され、第8級~第14級の場合は給付基礎日額の503日~56日分の障害(補償)等一時金が支給されます。
業務災害が原因による障害の場合は障害補償年金や障害補償一時金、通勤災害が原因による障害の場合は障害年金や障害一時金といいます。
遺族(補償)等給付とは、業務災害または通勤災害による傷病が原因で労働者が死亡した場合に、一定の遺族に対して支給される給付のことです。
業務災害による傷病が原因で死亡した場合は遺族補償年金や遺族補償一時金、通勤災害による傷病が原因で死亡した場合は遺族年金や遺族一時金といいます。
葬祭料等(葬祭給付)とは、業務災害または通勤災害による傷病が原因で死亡した労働者の葬祭を行った方に支給される給付のことです。
支給額は、315,000円+給付基礎日額の30日分、または給付基礎日額の60日分のうち高い方です。
業務災害による傷病が原因で死亡した場合は葬祭料、通勤災害による傷病が原因で死亡した場合は葬祭給付といいます。
介護(補償)等給付とは、傷病(補償)等年金または障害(補償)等年金を受給している方が、介護を受けている場合に月を単位として支給される給付のことです。
傷病補償年金または障害補償年金を受給している場合は介護補償給付、傷病年金または障害年金を受給している場合は介護給付といいます。
二次健康診断等給付とは、 労働安全衛生法に定められた定期健康診断等の結果で一定の異常が認められた場合に、二次健康診断および特定保健指導を二次健康診断指定医療機関で受けられることです。
一定の異常とは、肥満、血圧、血糖、血中脂質の全てに異常の所見が認められた場合です。
労災保険は、原則労働者を一人でも雇用する事業であれば加入する必要があり、業務災害または通勤災害での負傷、疾病、障害、死亡に対して給付を行います。
労災保険について疑問点などございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。