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雇用保険の給付について

雇用保険の給付について


記事作成日:2024/9/30

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雇用保険とは、労働者の生活、雇用の安定、就職の促進のために、労働者に対して必要な給付を行う制度です。
また、雇用保険は、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上、その他労働者の福祉の増進等をはかるための事業も行っています。
雇用保険は、労働者を雇用している事業であれば原則として強制的に加入しなければなりません。
雇用保険の加入対象者は、原則として常用、パート、アルバイト、派遣など名称や雇用形態にかかわらず、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある労働者です。

今回は、雇用保険の給付にはどのような給付があるのかについて解説していきます。

1.失業等給付

雇用保険の給付の中で、労働者が失業した場合、雇用の継続が困難となった場合などに、生活および雇用の安定をはかるための給付が失業等給付です。
失業等給付には、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4種類があります。

(1)求職者給付

求職者給付とは、労働者が失業した際に支給される給付で、失業期間の生活の安定をはかり再就職の支援を行う給付です。
求職者給付には、以下の7種類の給付があります。

①基本手当
基本手当とは、雇用保険の被保険者が会社等を離職して失業状態にある場合、働く意思と能力を有していて求職活動を行っているのに就職できない場合に支給される手当です。
離職した時の年齢などにより、基本手当日額90日〜330日分が28日分ごとに支給されます。

②技能習得手当
技能習得手当とは、基本手当を受給している人が、ハローワークなどの指示により公共職業訓練などを受講する際に基本手当とは別に支給される手当のことです。
技能習得手当には、受講手当と通所手当があります。

③寄宿手当
寄宿手当とは、求職者支援制度を利用して公共職業訓練を受けるために、同居の配偶者などの家族と別居して生活する場合に支給される手当のことです。

④傷病手当
傷病手当とは、基本手当の受給資格者が疾病や負傷などのため一定期間仕事を探すことができず基本手当を受給できない場合に、支給される給付のことです。
疾病や負傷などのため仕事を探すことができない期間が14日以内なら基本手当が、15日以降は傷病手当が支給されます。

⑤高年齢求職者給付金
65歳以上の雇用保険の被保険者が会社等を離職して失業の状態にある場合に、基本手当日額の30日または50日分が一括で給付されます。

⑥特例一時金
特例一時金とは、季節的業務に従事する被保険者が離職した場合に、一定の要件を満たしていれば基本手当日額の40日分が支給される一時金です。

⑦日雇労働者給付金
日雇労働者給付金とは、日雇派遣に従事する被保険者が失業した場合に、生活の安定を図り常用就職を支援をするための給付金です。

(2)就業促進給付

就職促進給付とは、再就職や再就職後の支援をするための給付です。
就業促進給付には、以下の3種類の給付があります。

①就業促進手当
就職促進給付とは、早期の再就職を促進するための給付で、再就職手当、就職促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当があります。

②移転費
移転費とは、雇用保険の受給資格者が、ハローワークなどが紹介した職業に就職する場合や、ハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受講するために移転する場合に支給されます。

③求職活動支援費
求職活動支援費とは、ハローワークを通じて広域の求職活動や、面接や公共職業訓練の受講などに対して行われる給付です。
求職活動支援費の種類は、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費です。

(3)教育訓練給付

教育訓練給付とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に、受講費用の一部が支給される給付です。
教育訓練給付により、労働者の主体的な能力開発やキャリア形成を支援して、雇用の安定と就職の促進を図ります。
教育訓練給付金の種類は、教育訓練のレベルなどにより、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類に分かれています。

(4)雇用継続給付

雇用継続給付とは、職業生活を円滑に継続するための援助、促進することを目的とした給付です。
雇用継続給付には、以下の2種類の給付があります。

①高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2種類があります。
高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の一般被保険者で被保険者であった期間が5年以上ある基本手当を受給していない方を対象とする給付金です。
60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が、60歳時点の75%未満となっている被保険者に対して、60歳に到達した月から65歳に達する月まで支給されます。
高年齢再就職給付金は、基本手当を受給し再就職した方を対象とする給付金です。
基本手当を受給した後、60歳以後に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった方に支給されます。
支給要件は、60歳以上65歳未満の一般被保険者で、基本手当についての算定基礎期間が5年以上あり、再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あることです。

②介護休業給付
一定の家族を介護するために休業をした雇用保険の被保険者が、介護休業中に給与が一定以上支払われない場合に支給される給付です。
介護休業給付は、同じ家族について93日を限度に3回までに限り受給することができます。

2.育児休業給付

雇用保険の被保険者が育児休業を取得中に、給与が一定額以上支払われない場合に支給される給付金のことです。

(1)育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、一定の要件を満たした場合に支給される給付金です。
また、雇用保険の被保険者が、子の出生後8週間の間に合計4週間分を限度として産後パパ育休を取得して一定の要件を満たした場合は、出生時育児休業給付金が支給されます。

まとめ

雇用保険は、労働者を雇用している事業であれば原則として強制的に加入する必要があり、労働者の生活や雇用の安定、就職の促進のために、労働者に対して必要な給付を行う制度です。
雇用保険について疑問点などございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。

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