出産手当金の申請方法
記事作成日:2024/11/16
産前休業とは、労働基準法に定められた出産の日(実際に出産した日が予定日より後の場合は出産予定日)以前42日(双子以上の出産の場合は98日)から従業員の希望により取得できる休暇です
また、産後休業とは、出産の翌日以後56日(産後42日間の取得は義務、以降は医師の許可があれば就労が可)まで取得できる休暇です。
産前産後休業を取得した従業員は、条件を満たした場合に健康保険から出産手当金を受給できます。
今回は、この出産手当金の申請方法について解説していきます。
産前産後休業中の従業員に対しては、その間の給与の支払いは企業などが自由に決めることができます。
しかし、産前産後休業中の従業員にとっては、その間の収入が減ることになり、生活に影響するかもしれません。
そのような産前産後休業中に無給であり一定の条件を満たした従業員のために、健康保険では出産手当金という給付を行っています。
似たような給付に出産育児一時金がありますが、この給付は出産にかかる費用の軽減のための給付です。
出産手当金は、産前産後休業を取得した健康保険の被保険者でなければ受給できません。
一方、出産育児一時金は健康保険の被保険者のみならず、健康保険の被扶養者や国民健康保険の被保険者も受給することができます。
出産手当金を受給するためには、以下の要件を満たすことが必要です。
・健康保険の被保険者であること
出産手当金を受給するためには、健康保険の被保険者でなければなりません。
健康保険の被扶養者は受給できませんので、注意が必要です。
・妊娠4か月(85日)以上経過した出産であること
出産手当金を受給するためには、妊娠4か月(85日)以上経過した出産(流産、死産、人工妊娠中絶を含む)でなければなりません。
妊娠84日までの出産の場合は、出産手当金を受給することはできません。
・産前産後休業を取得していること
出産手当金は産前産後休業を取得している従業員に対して支給されますが、休業中に企業などから給付を受け取っている場合は原則出産手当金を受給できません。
ただし、給与を受け取っている場合でも、給与の日額が出産手当金の日額よりも少ない場合は、その差額分を出産手当金として受給できます。
1日当たりの出産手当金の支給額は、受給要件を満たした場合、以下の計算式で計算されます。
支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
支給額は、この1日当たりの出産手当金の支給額に支給対象となる日数を乗じた額です。
ただし、支給開始日以前に12か月間の健康保険の被保険者期間がない場合は、以下のいずれか低い額を使用して計算します。
・支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
・当該年度の前年度9月30日における健康保険組合の全被保険者の標準報酬月額を平均した額
出産手当金の申請は産前産後休業期間の給与の支払いを確認しなければならないため、休業期間中の給料の締日を過ぎてからの申請が可能です。
また、実際に産後産後休業を取得した分に対してのみ、申請が可能になります。
産前産後休業を取得した後であれば、全休業日分をまとめて申請しても、産前分と産後分などを分割して申請することも可能です。
出産手当金の申請は、保険者である協会けんぽや健康保険組合へ申請を行わなければなりません。
出産手当金の申請は企業などの事業主が行うことが一般的ですが、従業員本人が行うこともできます。
出産手当金の申請は、「出産手当金支給申請書」を協会けんぽや健康保険組合へ提出することで行われます。
出産手当金支給申請書には、従業員本人、医師または助産師、企業などの事業主の記入欄がありそれぞれの記入が必要です。
一般的には、産休に入る前に申請書を従業員に渡して、従業員本人の記入と従業員から医師または助産師に必要事項を記入してもらう必要があります。
出産手当金の申請は、一般的には事業主が従業員に代わって産後1回または産前、産後など複数回に分けて、事業主の証明とともに協会けんぽや健康保険組合へ提出します。
このように、出産手当金の申請は、協会けんぽや健康保険組合へ「出産手当金支給申請書」を提出します。
産前産後休業を取得する従業員に対する労務管理について疑問点等がございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。