税制上における年収の壁について
記事作成日:2024/11/16
昨今、よく話題になる「年収の壁」ですが、企業の労務担当者はこの意味について理解している必要があります。
年収の壁とは、税金や社会保険料の負担が生じることになる年収のラインのことです。
また、年収の壁には、税制上における年収の壁と社会保険料に対する年収の壁があります。
今回はこの年収の壁のうち、税制上における年収の壁について、分かりやすく解説していきます。
税制上における年収の壁とは、年収100万円の壁、年収103万円の壁、年収150万円の壁、年収201万円の4種類です。
それぞれの年収のラインについて、税金の金額が変わることになります。
この4種類の税制上における年収の壁について、ひとつひとつ説明していきます。
税制上における100万円の壁とは、パートやアルバイトなどの給与収入がある方が一般的に年収100万円を超えると住民税がかかるようになる壁のことです。
ただし、住民税がかかる年収の課税基準額が100万円の自治体が多いため年収100万円の壁と言われるのであって、実際は自治体ごとに基準額が異なります。
住民税がかかる基準額については、自治体のホームぺージなどで調べることが可能です。
税制上における103万円の壁とは、パートやアルバイトなどの給与収入がある方が年収103万円を超えると所得税がかかるようになる壁のことです。
この年収103万円は、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を足した金額であり、この金額を越えると所得税がかかるようになるのです。
また、年収103万円は、配偶者が受けられる「配偶者控除」の壁にもなります。
年収が103万円以下の場合は、配偶者が受けられる配偶者控除38万円が適用になり、年収が103万円を超えると配偶者控除は適用対象外です。
ただし、年収が103万円を超えても150万円以下であれば、配偶者は別途38万円の「配偶者特別控除」を受けられます。
配偶者の給与収入が年収103万円を超えた場合であっても、年収150万円までならば別途38万円の配偶者特別控除を受けることが可能です。
しかし、配偶者特別控除の仕組みとして、配偶者の給与収入が年収150万円を超えると徐々に控除額が少なくなります。
この配偶者特別控除の控除額が、徐々に減っていくラインのことを年収150万円の壁と呼んでいます。
配偶者特別控除は、配偶者の給与収入が年収150万円を超えると徐々に控除額が少なくなり、配偶者の給与収入が年収201万円を越えた場合には控除額が0円になるのです。
例えば、妻の給与収入が年収201万円を越えた場合には、夫は配偶者特別控除をまったく受けられなくなります。
この配偶者特別控除を受けられなくなるラインのことを、年収201万円の壁と呼んでいます。
このように、税金がかかるまたはかからないラインのことを、税制上における年収の壁といいます。
今後、基礎控除の引き上げが行われる可能性があるため、税制上における年収の壁も変わってくるかもしれません。
税金や社会保険料などの給与計算について疑問点等がございましたら、是非一度当事務所にご相談ください。