65歳以降の社会保険の取り扱いについて
記事作成日:2024/12/2
高年齢者雇用安定法の改正により、企業は2025年4月から65歳までの雇用確保が義務付けられます。
今まで経過措置とされていた「65歳までの定年延長」、「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度など)の導入」、「定年制の廃止」のいずれかを行わなければならなくなったのです。
これは、定年を65歳にすることを義務づけられたわけでなく、あくまで65歳までの雇用確保が義務づけられたということです。
また、65歳までの雇用確保は希望者に対する措置であり、希望しない60歳〜65歳までの従業員までを雇用しなければならないということではありません。
ただし、65歳までの雇用確保は、会社にとって今までより多くの高齢の従業員をかかえることになります。
その結果、65歳以上の従業員も増えることになりますが、65歳以上の従業員の社会保険はどのような扱いになるのでしょうか?
今回は、65歳以降の社会保険の取り扱いについて分かりやすく解説していきます。
2025年4月から65歳までの雇用確保が義務付けられますが、高年齢者雇用安定法では70歳までの就業機会確保のために、事業主は以下の措置を行うことを努力義務としています。
・70 歳までの定年延長
・定年制の廃止
・70 歳までの継続雇用制度(再雇用制度など)の導入
・70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
・70 歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業や、事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入
70歳までの就業機会の確保は、企業等がこれらの措置を制度化する努めることとしていて、70歳までの定年延長を義務化するものではありません。
ただし、就業機会の確保により、高齢の方でも雇用機会の拡大を推進するものとなっています。
健康保険は、所定の要件を満たした75歳未満の従業員が被保険者となります。
健康保険の被保険者の方が75歳になった場合には、都道府県ごとに設立された「後期高齢者医療制度」に移行することになり、健康保険の被保険者資格を失うことになるのです。
そのため、会社は、75歳になった日から5日以内に「健康保険被保険者資格喪失届」を管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
厚生年金保険は、所定の要件を満たした70歳未満の従業員が被保険者となります。 70歳以降も引き続き同じ事業所に勤務する場合には、70歳になった日から5日以内に「厚生年金保険被保険者資格喪失届 70歳以上被用者該当届」を管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
介護保険は、40歳〜64歳のすべての方が介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料は健康保険の一部として一緒に支払われます。
従業員が65歳になった場合には、市区町村が運営する介護保険の第1号被保険者となるため、会社は介護保険料を給与から天引きをする必要がなくなります。
このように、健康保険は75歳、厚生年金保険は70歳になった時に被保険者資格を失います。
また、介護保険は、65歳になった時に市区町村が運営する介護保険の第1号被保険者に移行されます。
今後、高齢の従業員が増えると、加入資格もあわせて対応について理解しておかなければなりません。
社会保険の対応につきまして、疑問などがある場合には、是非一度当事務所にご相談ください。