出生後休業支援給付金
記事作成日:2024/12/31
令和6年の雇用保険制度改正により、新たな育児に伴う給付として「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」が創設されて、令和7年4月1日より施行されます。
今回は、この内「出生後休業支援給付金」について解説していきます。
出生後休業支援給付金とは、出生後の一定期間に夫婦ともに出生後休業(育児休業)を取得した場合に、休業開始前賃金の13%の額が最大28日間支給される制度です。
出生後の一定期間とは、夫は子の出生後8週間以内、妻は産後休業後8週間以内に14日以上の出生後休業を取得することです。
育児休業を取得した従業員に給付される既存の育児休業給付金や出生時育児休業給付金は、いずれも休業前の賃金の67%相当額の給付が行われます。
出生後休業支援給付金は既存の育児休業給付金や出生時育児休業給付金と合わせると、休業前の賃金の80%相当額の給付が行われるため、手取りでは休業前の賃金の10割相当を受給することが可能です。
出生後休業支援給付金は、若者世代が希望どおりの結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくために、「共働き・共育て」を推進して男性の育児休業取得の更なる促進のために創設された制度です。
出生後休業支援給付金を受給するためには、以下の要件を満たすことが必要です。
(1)出生後休業の開始日前の2年間に雇用保険のみなし被保険者期間が12か月以上あること
雇用保険のみなし被保険者期間とは、休業開始日から1か月ごとにさかのぼって区切った各月で、以下のいずれかの条件を満たす期間のことです。
・賃金支払基礎日数が11日以上あること
・賃金支払基礎日数が11日以上ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上あること
(2)被保険者が対象期間内にした出生後休業の日数が、通算して14日以上であること
(3)被保険者の配偶者が、出生後休業を取得した日数が、通算して14日以上であること
出生後休業支援給付の支給額は、休業開始前賃金の13%相当額で、最大で28日分支給されます。
出生後休業支援給付の給付率13%と既存の育児休業給付金や出生時育児休業給付金の給付率67%を合わせると給付率が80%(手取りで10割相当)になります。
そのため、雇用保険の被保険者と被保険者の配偶者が、それぞれ手取り額の10割相当の給付金を最大28日分受給することが可能です。
給付率が休業開始前賃金の80%なのに何故手取り額が10割相当になるかというと、休業開始前賃金からは税金と社会保険料が控除されますが、給付金からは税金と社会保険料が控除されません。
また、休業期間中は健康保険料や厚生年金保険料が免除されるため、手取り額が10割相当になるのです。
このように、雇用保険制度の改正により、令和7年4月1日から出生後休業支援給付が創設されます。
これにより育児休業に対する給付金が、休業開始前賃金の10割相当支給されより充実します。
育児休業について質問などがある場合や、詳しく知りたい場合には、是非一度当事務所にご相談ください。