育児時短就業給付金
記事作成日:2024/12/31
令和6年の雇用保険法の制度改正により、新たな育児に伴う給付として「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」が創設され、令和7年4月1日より施行されます。
この2種類の育児休業に対する給付が創設されることで、既存の「育児休業給付金」と「出生時育児休業給付金」に加えて、育児休業に対する給付が4種類になります。
その中の育児時短就業給付金とは、子育て中のため時短で勤務している雇用保険の被保険者に対する新たな給付制度です。
今回は、育児時短就業給付金について解説していきます。
育児時短就業給付金とは、育児のために時短勤務制度を選んだため、賃金が低下した雇用保険の被保険者に給付を行う制度です。
時短勤務制度とは、3歳に満たない子どもを養育する従業員の申し出によって、1日の所定労働時間を5時間45分から6時間までにしなければならない制度になります。
育児時短就業給付金の目的は、時短勤務で収入が低下したとしても収入を補填することで、育児と就業の両立を図ることが可能な職場環境を整えることです。
現状の時短勤務制度では、時短勤務による収入減は避けられなかったため、育児時短就業給付金の導入により育児と就業の両立が図れることが期待できます。
育児時短就業給付金の受給対象者は、2歳未満の子の育児のために時短勤務制度を選択して、賃金が一定額低下した従業員です。
育児時短就業給付金の受給要件は、上記育児時短就業給付金の受給対象者が以下のいずれかに該当した場合です。
・時短勤務を開始する前の原則2年間に、みなし被保険者期間が12か月以上あること
・「育児休業給付金」または「出生時育児休業給付金」を受給していた場合、その給付金にかかる育児休業の終了後に引き続き育児時短就業をしていること
みなし被保険者期間とは、育児時短就業を開始した日を被保険者でなくなった日とみなして計算された被保険者期間に相当する期間のことです。
育児時短就業給付金の受給額は、育児時短就業開始時賃金日額の10%です。
ただし、育児休業前の賃金と比べ、育児時短勤務後の賃金の減少幅が10%に満たない場合は、休業前賃金を超えないように給付率の調整が行われます。
育児時短就業給付金の創設により、以下の事項について企業が注意をしなければなりません。
・就業規則などの社内規定の整備
育児時短就業給付金は2025年4月1日から施行されますので、そこからスタートできるために就業規則など社内規定の整備をしておかなければなりません。
・提出書類の準備
育児時短就業給付金の申請手続きは、原則事業主を通して行われます。
今までの育児休業給付の手続きの他に、時短勤務中における賃金証明書などの提出を求められる可能性がありますので準備をしておくとよいでしょう。
・マミートラックへの対応
育児時短就業給付金の創設は、育児時短勤務を選択する従業員を増やす効果があります。
一方、育児時短勤務の利用が増えることで、子育てによりキャリアのコースから外れてしまうマミートラックが発生する可能性が増えるのです。
企業は、育児時短勤務を利用してもキャリアのコースから外れないような対策をとる必要があります。
このように、雇用保険制度の改正により、令和7年4月1日から育児時短就業給付金が創設されます。
育児時短就業給付金の創設により、育児時短勤務を行う従業員の収入の減少を防ぐことができます。
育児休業について質問などがある場合や、詳しく知りたい場合には、是非一度当事務所にご相談ください。