育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の見直し
記事作成日:2025/1/18
2024(令和6)年5月に「育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法」が改正されました。
この改正により、2025(令和7)年4月1日から段階的に施行されることになります。
今回は、育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の改正により、どのように見直されるのかについて2025(令和7)年4月1日から施行されるものを解説していきます。
育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の育児関連については、令和7年4月1日から以下の項目について見直されます。
現状、3歳未満の子を育てている従業員が請求すれば、所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能です。
令和7年4月1日からは、小学校就学前の子を育てる従業員までが、所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能になります。
子の看護休暇の対象となる子の範囲が、現状は小学校就学の始期に達するまでですが、令和7年4月1日からは小学校3年生修了までに延長されます。
また、子の看護休暇は、現状は病気、けが、予防接種、健康診断などの場合に取得できますが、令和7年4月1日からは感染症に伴う学級閉鎖などや、入園(入学)式、卒園式の場合も取得可能です。
労使協定の締結により現状の子の看護休暇を取得できない従業員の条件から、「引き続き雇用された期間が6か月未満の従業員」が削除されます。
そのため、令和7年4月1日からの労使協定の締結により子の看護休暇を取得できない従業員の条件は、「週の所定労働日数が2日以下の従業員」のみに変更されます。
3歳未満の子を育てる従業員が、テレワークを選択できるようにすることが、令和7年4月1日から事業主の努力義務化となりますので注意が必要です。
また3歳未満の子を育てる従業員に対して、短時間勤務制度が困難な場合の代替措置として、テレワークが追加がされます。
現状の短時間勤務制度が困難な場合の代替措置は、以下の2つです。
・育児休業に関する制度に準ずる措置
・始業時刻の変更等
現在は従業員数1,000人超の企業に、育児休業の取得状況などに係る状況把握、数値目標の設定の公表が義務付けられています。
令和7年4月1日からは、従業員数300人超の企業が、育児休業の取得状況などの公表をしなければなりません。
従業員数300人超の企業に、育児休業等の取得状況を公表することが義務付けられます。
育児休業等の取得状況の公表内容は、直前の事業年度における男性の「育児休業等の取得割合」または「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかの割合です。
育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の介護関連については、令和7年4月1日から以下の項目について見直されます。
子の看護休暇と同様に労使協定の締結により、現状の介護休暇を取得できない従業員の条件から、「引き続き雇用された期間が6か月未満の従業員」が削除されます。
そのため、令和7年4月1日からの労使協定の締結により、介護休暇を取得できない従業員の条件は、「週の所定労働日数が2日以下の従業員」のみに変更されます。
介護休業や介護両立支援制度などの利用が円滑に行われるため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
・介護休業、介護両立支援制度などに関する研修の実施
・介護休業、介護両立支援制度などに関する相談窓口設置などの相談体制の整備
・自社の労働者の介護休業取得、介護両立支援制度などの利用の事例の収集や提供
・自社の労働者へ介護休業、介護両立支援制度などの利用促進に関する方針の周知
事業主は介護をすることについて申し出をした従業員に対して、介護休業制度などに関する以下の事項の周知を個別に行わなければなりません。
介護休業の取得、介護両立支援制度などを利用する意向の確認についても、個別に行わなければなりません。
・介護休業に関する制度、介護両立支援制度などの内容
・人事部などの介護休業、介護両立支援制度等の申出先
・介護休業給付金に関すること
また、事業主は従業員が介護をすることになる前の早い段階(40歳など)で、介護休業や介護両立支援制度などについての理解を深め関心を持たせるために、介護休業制度などに関する以下の事項について情報提供しなければなりません。
・情報提供期間
・情報提供事項
・情報提供の方法
要介護状態の家族を介護する従業員が、テレワークを選択できるようにすることが、令和7年4月1日から事業主の努力義務化となりますので注意が必要です。
このように、育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の改正により、2025(令和7)年4月1日からの育児関連、介護関連の事項が変更になります。
事業主は2025(令和7)年4月1日から変更される項目について、事前に知っておかなければなりません。
育児休暇、介護休暇について質問などがある場合や、詳しく知りたい場合には、是非一度当事務所にご相談ください。