パートやアルバイトなどの短時間労働者の社会保険の加入条件
記事作成日:2025/1/31
令和6年(2024年)10月から、健康保険や厚生年金保険の社会保険の適用拡大が行われました。
そのことにより、従業員数51人以上の企業に勤務している一定の要件を満たすパートやアルバイトなどの短時間労働者についても、社会保険の加入が義務化されたのです。
この一定の要件の中の一つとして、「週の所定労働時間が20時間以上であること」という要件があります。
今回は、パートやアルバイトなどの短時間労働者の社会保険の加入条件について解説していきます。
また、パートやアルバイトなどの短時間労働者の中で、週の所定労働時間が20時間以上を超えたり超えなかったりする方は、社会保険の加入対象者かどうかについても解説していきます。
健康保険や厚生年金保険の適用事業所に常用的に雇用されている従業員は、厚生年金保険は70歳まで、健康保険は75歳まで加入しなければなりません。
また、常用的に雇用されていなくても、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常勤労働者の4分の3以上の従業員は、パートやアルバイトなどの雇用形態を問わず社会保険の被保険者です。
例えば、1か月の所定労働日数20日で、1週間週の所定労働時間40時間の会社では、常勤労働者の4分の3以上の勤務は以下になります。
1か月の所定労働日数4分の3以上は、20日×4分の3=15日以上です。
1週間週の所定労働時間の4分の3以上は、40時間×4分の3=30時間以上です。
パートやアルバイトなどの短時間労働者で、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常勤労働者の4分の3未満の従業員であっても、以下の要件をすべて満たした場合は、社会保険の被保険者です。
・厚生年金保険の被保険者数が51人以上の適用事業所に勤務していること
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・所定内賃金の月額が88,000円以上(年収換算で約106万円以上)であること
・雇用期間が2か月を超える見込みがあること
・学生でないこと(休学中の学生や夜間学生は加入対象)
パートやアルバイトなどの方の中には、1週間の労働時間が週によって20時間を超えたり超えなかったりする方がいらっしゃいます。
その他の社会保険の加入要件を満たしていて、1週間の労働時間が週によって20時間を超えたり超えなかったりする従業員は、社会保険に加入しなければならないのでしょうか?
社会保険の加入要件の一つである週20時間以上とは、あくまでも就業規則や雇用契約書に定めた所定労働時間が週20時間以上かどうかなのです。
そのため、定められた所定労働時間が週20時間以上の場合は、週によって20時間を超えたり超えなかったりしたとしても社会保険に加入することになります。
一方、定められた所定労働時間が週20時間未満の場合であっても、実際の労働時間が2か月連続週20時間以上で、それ以後も20時間以上が見込まれる場合には、3か月目から社会保険に加入しなければなりません。
このように、現状のパートやアルバイトなどの短時間労働者の社会保険の加入要件は、企業規模要件、年収要件、労働時間要件などです。
厚生労働省は、厚生年金保険への加入者を増やして多くの人が将来の年金額が増えるように、将来的にさらなる社会保険の適用拡大を提案しています。
その提案によれば、51人以上の勤務先の企業規模要件や年収106万円以上の要件などを撤廃して、週の所定労働時間数が20時間以上の要件だけを残すようにしているのです。
即ち、将来的な社会保険の加入要件は、週の所定労働時間が20時間以上であることだけになる方向で進んでいます。
従業員の社会保険の加入について質問などがある場合や、詳しく知りたい場合には、是非一度当事務所にご相談ください。