傷病手当金の申請方法について
記事作成日:2025/2/17
業務外の病気やケガが原因で会社を長期間休まなければならない場合、健康保険の給付である傷病手当金が受給できる可能性があります。
傷病手当金は、病気やケガで休業している間に十分な報酬を受けとれない健康保険の被保険者やその家族の生活を保障することを目的としています。
傷病手当金を受給するには一定の要件があるため、傷病手当金の概要や受給要件を理解していなければスムーズに申請できません。
傷病手当金の申請は、一般的に事業所が行うことが多いのですが、従業員本人が行うことも可能です。
今回は、傷病手当金の概要や受給要件、申請方法について解説していきます。
傷病手当金は、以下の4つ要件をすべて満たした場合に受給できます。
業務外の休業であれば、自宅療養をしていても傷病手当金の受給対象です。
また、健康保険給付でなく自費での診療であっても、仕事に就けない証明があれば受給対象になります。
労災保険の対象である業務上の災害や通勤災害での休業の場合は、傷病手当金は受給できません。
治療中であっても仕事に就くことができれば、傷病手当金は受給できません。
業務外の事由により仕事を休んだ日から連続した3日間は待機期間として、その後4日目以降の休業日に傷病手当金が支給されます。
待機期間には年次有給休暇や公休日も含まれ、有給無給は関係ありません。
休業中に給与が支払われている場合は、傷病手当金は受給できません。
ただし、傷病手当金の額よりも給与の支払いが少ない場合は差額が受給できます。
傷病手当金の1日当たりの受給額は、以下の計算式で計算することができます。
支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3
支給開始日以前の健康保険の被保険者期間が12か月に満たない場合は、以下いずれか低い額を使用します。
・支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
・該当年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均値
傷病手当金が受給できる期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。
傷病手当金の申請は従業員でもできますが、一般的に事業所が行うことがほとんどです。
傷病手当金は、以下の流れで行われます。
「傷病手当金支給申請書」は、傷病手当金の申請をするのに必要な書類です。
傷病手当金支給申請書は、被保険者の記入欄、事業主の記入欄、医師などの療養担当者の記入欄があり、それぞれが記入する必要があります。
申請書類の提出先は、協会けんぽや組合健保なとの加入している保険者です。
従業員が、傷病手当金支給申請書の被保険者用記入用紙に必要事項を記載します。
被保険者の記載事項は、被保険者情報、振込先指定口座、申請内容、確認事項などです。
医師などの療養担当者が、傷病手当金支給申請書の療養担当者用記入用紙に必要事項を記載します。
医師などの療養担当者の記載事項は、患者氏名、傷病名、発病または負傷の原因や年月日などです。
事業主が、傷病手当金支給申請書の事業主用記入用紙に必要事項を記載します。
事業主の記載事項は、被保険者氏名、勤務状況、事業者情報などです。
傷病手当金支給申請書に添付する書類は、「健康保険傷病手当金支給申請書│全国健康保険協会」を参照下さい。
被保険者が加入している協会けんぽや健保組合などの健康保険の保険者に、傷病手当金支給申請書と必要書類を添付して提出します。
このように、傷病手当金を受給するためには、傷病手当金支給申請書に被保険者、事業主、医師などの療養担当者の三者が記載しなければなりません。
傷病手当金は、出産手当金を受給している場合や、労災保険から休業補償給付を受給していたりしていた場合など支給停止になる可能性もありますので注意が必要です。
傷病手当金の申請について質問などがある場合や、詳しく知りたい場合には、是非一度当事務所にご相談ください。