在職老齢年金について
記事作成日:2025/2/17
2025年4月に高年齢者雇用安定法が改正されて、65歳までの雇用確保が完全に義務化されます。
この改正により、今まで経過措置であった「65歳までの定年延長」、「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度など)の導入」、「定年制の廃止」のいずれかを企業は行わなければならなくなったのです。
また、同時に「70歳までの定年延長」、「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度など)の導入」、「定年制の廃止」を努力義務としています。
そのため、企業は従業員の65歳までの雇用の義務化と、従業員が希望する場合にはできるだけ70歳までは働けるような整備が必要です。
70歳までの雇用機会の拡大を推進している一方で、国民年金の老齢のための給付である老齢基礎年金や厚生年金保険の老齢のための給付である老齢厚生年金は原則65歳から支給されます。
そのため、従業員によっては働いて給与収入を得ながら、同時に老齢基礎年金や老齢厚生年金も受給することができるのです。
ただし、働いて給与収入を得ながら老齢年金を受給する場合は、収入額によっては老齢厚生年金の全部または一部が支給停止になる可能性があり、この場合の老齢厚生年金のことを「在職老齢年金」といいます。
今回は、働きながら受給する年金である在職老齢年金の概要や支給停止条件について解説していきます。
厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上ある方が受給要件を満たした場合には、厚生年金保険の給付である老齢厚生年金を原則65歳から受給可能です。
働きながら老齢厚生年金を受給している場合には、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額に応じて年金額の全部または一部が支給停止となる可能性があり、これを在職老齢年金といいます。
総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の合計を12か月で割った額を足した金額のことです。
また、老齢厚生年金の基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生または退職共済年金の報酬比例部分の月額のことです。
総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額に応じて年金額の一部または全部が支給停止になるのが老齢厚生年金であり、老齢基礎年金は支給停止にはなりません。
老齢基礎年金は、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額がいくらであっても、老齢基礎年金は全額支給されます。
総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計額が50万円以下であれば、老齢厚生年金は支給停止にならず全額支給されます。
総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計額が50万円を超える場合には、支給停止額は以下の計算式で計算できます。
支給停止額=(総報酬月額相当額+老齢厚生年金の基本月額-50万円)÷2
また、支給停止を調整した後の在職老齢年金として受給できる年金月額は以下の計算式で計算できます。
在職老齢年金として受給できる年金月額=老齢厚生年金の基本月額-(総報酬月額相当額+老齢厚生年金の基本月額-50万円)÷2
例えば、総報酬月額相当額が50万円、老齢厚生年金の基本月額が16万円の従業員の支給停止額は、以下の計算式で計算します。
支給停止額=(50万円+16万円-50万円)÷2=8万円
この従業員の支給停止額は8万円であり、在職老齢年金として受給できる年金月額は16万円-8万円=8万円です。
在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止は、政府は70歳までの雇用機会の拡大を推進しているうえで足かせとなる可能性があります。
在職老齢年金の支給停止が、高齢者の働き控えを促進させるかもしれないのです。
そのため、在職老齢年金の支給停止は、撤廃するか支給停止基準を引き上げることが望ましいと厚生労働省の年金部会でも確認されています。
在職老齢年金について、疑問などがある場合や、詳しく知りたい場合には、是非一度当事務所にご相談ください。