新入社員の社会保険料、雇用保険料について
記事作成日:2025/3/17
日本の社会保険は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険で構成されています
この内、健康保険、厚生年金保険、介護保険のことを狭義の社会保険と呼んでいて、雇用保険、労災保険のことを労働保険と呼ぶのが一般的です。
ほとんどの企業で、従業員の給与や賞与から健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の社会保険料と、雇用保険料を天引きで徴収しています。
4月から新入社員が入ってくる企業も多いでしょうが、当然新入社員であっても社会保険料や雇用保険料を天引きしなければなりません。
今回は、社会保険料、雇用保険料の引き落としタイミングについて解説していきます。
従業員の社会保険料は、毎月の給与や賞与から控除しなければなりません。
社会保険は入社日が資格取得日になるため、保険料はその月の分から発生することになります。
仮に月の途中に入社した場合であっても、社会保険料は1か月分負担しなければなりません。
社会保険料の支払い期限は翌月の末日になっているため、社会保険料は翌月給与から控除するのが一般的です。
例えば、25日締め翌月15日払いの会社に4月1日に入社した場合は、5月15日の給与から社会保険料が控除されることになります。
健康保険料、厚生年金保険料の社会保険料は、以下の計算式で求めることが可能です。
社会保険料は労使折半で支払いますので、給与から天引きする従業員分の社会保険料は、以下の計算式で計算された額の半額になります。
厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率(18.300%)
健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率(都道府県によって異なる)
介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率(都道府県によって異なる)
社会保険料は、従業員それぞれの標準報酬月額によって変わってきます。
標準報酬月額とは、従業員の給与などの1か月分の報酬を、一定の範囲(等級)ごとに区分した金額のことです。
標準報酬月額は、毎年4月〜6月までの3か月間の賃金の平均にて決定(定時決定)して、その年の9月分の社会保険料から適用される仕組みです。
新入社員の標準報酬月額は、定時決定で決めるのが難しいことが多いため、給与が固定給であればその賃金を標準報酬月額の等級表から標準報酬月額として利用します。
雇用保険料は、給与や賞与が支払われる都度保険料の控除を行わなければなりません。
そのため、新入社員であれば入社後の初めての給与から、雇用保険料が控除されるのです。
例えば、末日締め当月末日払いの会社に4月1日に入社した場合は、4月末日の給与から雇用保険料が控除されることになります。
雇用保険料は、以下の計算式で求めることが可能です。
雇用保険料=労働者に支払う賃金総額×雇用保険料率
雇用保険料は労使の双方で負担しますが、社会保険料とは異なり労働者負担分と事業主負担分との保険料が異なるのが特徴です。
労使の保険料負担が異なるのは、労働者が失業等給付・育児休業給付の保険料率分のみ支払うのに対して、事業主はそれに加えて、雇用保険二事業の保険料率分も支払わなければならないからです。
そのため、事業主は雇用保険二事業の保険料率分を、労働者の雇用保険料率よりも多く支払うことになります。
また、雇用保険料率は、事業の種類(一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業)ごとに異なるのが特徴です。
従業員の給与計算において、社会保険料や雇用保険料を控除しなければなりません。
社会保険料や雇用保険料の控除は、新入社員であっても例外ではありません。
社会保険料や雇用保険料について、疑問点がございましたら是非一度当事務所にご相談ください。