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標準報酬月額の随時改定と月額変更届

標準報酬月額の随時改定と月額変更届


記事作成日:2025/3/17

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健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の毎月の社会保険料は、従業員各自の標準報酬月額によって決まります。
従業員各自の標準報酬月額は、通常は毎年4月から6月の給与を基準とした定時決定により決まります。
しかし、昇給や降給などにより給与の額が著しく変動した場合には、随時改定による標準報酬月額の変更のための月額変更届の提出が必要です。

今回は、標準報酬月額の随時改定と月額変更届について解説していきます。

1.社会保険料の決定方法

給与や賞与から控除される健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の社会保険料は、毎月の給与時は標準報酬月額、賞与時は標準賞与額を基に決定します。
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は、それぞれ以下の計算式で計算された金額を、労使折半で支払うことになります。

厚生年保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率(18.300%)
健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率(都道府県によって異なる)
介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率(都道府県によって異なる)

2.標準報酬月額と標準賞与額

標準報酬月額とは、被保険者の残業手当などの諸手当を含んだ毎月の税引き前の給与額を一定の幅に区分された等級に振り分けて決定する金額のことです。
健康保険(介護保険を含む)の標準報酬月額は、1等級(5万8千円)から50等級(139万円)に分類されています。
厚生年金保険の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までです。
標準賞与額とは、被保険者の税引き前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額のことです。

3.定時決定による標準報酬月額の決定

毎月の社会保険料の基準となる標準報酬月額は、毎年4月〜6月までの3か月間の報酬月額にて決定されます。
事業所は7月1日現在で使用している全被保険者の4月〜6月までの3か月間の報酬月額を、算定基礎届で届け出しなければなりません。
厚生労働大臣は、算定基礎届の内容に基づいて毎年1回標準報酬月額を決定します。
この仕組みを定時決定といい、定時決定により決定した標準報酬月額は、その年の9月分の社会保険料から適用されます。

4.随時改定による標準報酬月額の決定

定時決定により標準報酬月額が決まっても、従業員によっては昇格や降格などにより大幅に給与額が変わるケースがあります。
このような場合、次の年の定時決定を待たずに、標準報酬月額の変更の届出をしなければなりません。
この標準報酬月額の変更のことを随時改定といい、標準報酬月額の変更の届出書類のことを「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届(月額変更届)」といいます。

5.随時改定をしなければならない条件

随時改定は、以下の条件をすべて満たした場合に行います。

・昇給または降給などで固定的賃金に変動があったこと
・賃金に変動があった月からの3か月間に支給された残業手当などの非固定的賃金を含む報酬の平均月額が該当する標準報酬月額と現在の標準報酬月額と2等級以上の差が生じたこと
・賃金に変動があった月からの3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること

6.月額変更届の手続き

随時改定を行う場合には、月額変更届に必要事項を記載して提出しなければなりません。
月額変更届の提出方法は、管轄年金事務所または事務センターに直接に提出する方法と、電子申請による提出方法があります。

まとめ

健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の基準になる標準報酬月額は、通常毎年1回定時決定により決定します。
ただし、昇格や降格などにより大幅に給与額が変動した場合には、次の年の定時決定を待たずに随時改定により標準報酬月額を変更する場合があります。

社会保険料の基準になる標準報酬月額について、疑問点がございましたら是非一度当事務所にご相談ください。

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