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労働保険の年度更新における労働保険料の計算と労働保険料の延納について

労働保険の年度更新における労働保険料の計算と労働保険料の延納について


記事作成日:2025/5/1

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従業員を雇用している事業所は、1年に1回労働保険(労災保険、雇用保険)の保険料を支払わなければなりません。
労働保険料の支払方法は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1保険年度単位で、今年度の概算保険料と前年度の概算保険料と確定保険料の差額を支払うこととなります。
概算保険料とは新保険年度分の労働保険料を概算で計算した保険料のことで、確定保険料とは実際に確定した前年度の賃金総額から計算した確定された保険料のことです。
この計算された労働保険料を毎年6月1日から7月10日(土日祝日の場合は翌日)の間に支払うことを、労働保険の年度更新といいます。

今回は、労働保険の年度更新により支払う労働保険料の計算例や、条件を満たした場合の労働保険料の延納について解説していきます。

1.労働保険料の計算式

労働保険料の計算方法は、すべての従業員(雇用保険は被保険者)に支払う賃金の総額(概算保険料は賃金支払見込額)×労働保険料率(労災保険料率+雇用保険料率)です。
労災保険料は事業主が全額を負担しなければならず、雇用保険料は事業主と従業員が双方で負担します。

労災保険料率は事業の種類によって異なり、令和7年度の事業の種類ごとの労災保険料率は以下です。

労災保険率表(令和6年度~)|厚生労働省

また、雇用保険料率は一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業で異なり、令和7年度の雇用保険料率は以下です。

令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省

2.労働保険料の具体的計算例

例えば、従業員が10名、1年間に労働者に支払う賃金総額が 3,500万円の小売業の場合の労働保険料は、以下の計算式で計算できます。
小売業の労災保険料率は3/1,000、雇用保険料率は14.5/1,000(うち被保険者負担分は5.5/1,000)のため、この企業の労働保険料は以下です。

3,500万円(1年間に労働者に支払う賃金総額)×(3/1,000(労災保険率)+14.5/1,000(雇用保険率))=612,500円(労働保険料)

このうち従業員の負担分は雇用保険の5.5/1,000になりますので、3,500万円(1年間に労働者に支払う賃金総額)×(5.5/1,000(被保険者負担分の雇用保険率))=192,500円(従業員負担分の労働保険料)

事業主負担分の労働保険料は、612,500円-192,500円=420,000円です。

3.労働保険料の延納

労働保険の年度更新により、今年度の概算保険料と前年度の概算保険料と確定保険料の差額を支払いますが、一定の条件を満たした場合には労働保険料の納付を3回に分割することができます。
労働保険料の延納ができる条件は、概算保険料の金額が40万円(労災保険、雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上である、または労働保険事務組合に労働保険の事務を委託している事です。

前年度以前に成立した事業場は、4月1日~7月31日が第1期で納期限は7月10日、8月1日~11月30日が第2期で納期限は10月31日、12月1日~3月31日が第3期で納期限は1月31日になります。
今年度の4月1日~5月31日に成立した事業場は、成立した日~7月31日が第1期で納期限は成立した日の翌日から50日以内、8月1日~11月30日が第2期で納期限は10月31日、12月1日~3月31日が第3期で納期限は1月31日です。
今年度の6月1日~9月30日に成立した事業場は、成立した日~11月30日が第1期で納期限は成立した日の翌日から50日以内、12月1日~3月31日が第2期で納期限は1月31日です。

まとめ

従業員を1人でも雇用している事業所は、毎年労働保険の年度更新をしなければなりません。
労働保険の年度更新について、知りたいことや疑問点などがございましたら是非一度当事務所にご相談ください。

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