労働基準法の改正(法定休日の特定の義務化、年次有給休暇取得時の賃金算定方式の簡素化)
記事作成日:2026/02/28
労働基準法は、2026年に約40年ぶりに改正される予定でした。
しかし、政府の方針転換や労使間の意見の対立により、2026年の通常国会への法案提出が見送られることになりました。
今後は論点ごとに再検討されることになり、改正が立ち消えたわけではないため、企業は準備をしておかなければなりません。
今回は、法案提出予定だった労働基準法改正のうち、法定休日の特定の義務化、年次有給休暇取得時の賃金算定方式の簡素化について解説していきます。
※本記事は2026年2月28日時点の法令をもとに執筆しており、法改正等により現在の制度と異なる場合があります。ご不明点は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
この記事は、こんな方におすすめです。
☑ 法定休日と法定外休日の区別が曖昧な中小企業の経営者
☑ 有給休暇取得時の賃金計算に手間を感じている給与担当者
☑ 将来の法改正に備えて就業規則を見直したい人事労務担当者
今回提出できなかった労働基準法の改正で、検討されていた主な項目は以下になります。
この中で、法定休日の特定の義務化、年次有給休暇取得時の賃金算定方式の簡素化について見ていきます。
労働基準法では、使用者は原則として週1日または4週4日の休日を従業員に付与しなければなりません。
この最低限与えなければならない休日のことを、法定休日といいます。
例えば、週休2日の会社であれば、どちらかが法定休日、どちらかが法定外休日になります。
今回改正しようとしていた労働基準法では、法定休日の特定を義務化しようするものです。
すなわち、企業は就業規則などに、どの日が法定休日かを明示しなければなりません。
法定休日に勤務させた場合には、通常の賃金の35%以上の割増賃金を支払わなければなりませんが、法定外休日の勤務には、通常の賃金を支払えばよいのです。
法定休日が不明確である場合、休日労働に対する35%以上の割増賃金が、正しく支払われているかが分かりづらくなります。
しかし、法定休日の特定の義務化により、休日労働に対する35%以上の割増賃金が正しく支払われているか判断しやすくなるのです。
現状、年次有給休暇を取得した時の賃金の算定方式は、平均賃金方式、所定労働時間労働した場合の通常賃金方式、標準報酬日額方式の3種類があります。
企業は、この3つの賃金方式のうちどれを選択しても構わないとされています。
しかし、平均賃金方式の場合は、計算が非常に複雑であることが難点です。
また、標準報酬日額方式の場合は、実際の賃金と乖離が出やすいことが難点です。
そのため、今回の改正では、所定労働時間労働した場合に支払われる通常賃金方式への一本化や、算定ルールの簡略化が検討されました。
これにより、給与計算ミスを防ぐとともに、有給休暇を取得した場合の賃金がわかりやすくなるというメリットもあります。
労働基準法の改正は、2026年は見送られることになりました。
しかし、改正が無くなったわけではなく、企業は将来の改正のための準備が必要です。
労働基準法の改正ついて、知りたいことや疑問点などがございましたら是非一度当事務所にご相談ください。